新しい経済学 2016 3 12
金融資産の総額がGDPを超えた時は、
従来型の経済学は、通用しない。
新しい経済学が必要となる。
従来型の経済学が通用するのは、
金融資産の総額がGDPより小さい時である。
もし、金融資産の総額がGDPを超えた時は、
経済成長も金利も低い状態が続く。
冷静に考えてみれば、
GDPよりも大きいという巨大な金融資産に対して、
高い金利を払ったら、金利の支払者が破綻するでしょう。
2008年当時ですら、
「金融資産の総額が、世界GDPの4倍を超え、
金融派生商品の総額が、世界GDPの10倍を超えている」というのです。
こうなってしまった原因は、
金本位制がないため、中央銀行は無尽蔵に紙幣を印刷して、
民間金融機関は、金融工学の発達によって、
デリバティブという「錬金術」が使えるようになったからでしょう。
しかし、紙幣が無尽蔵に増えても、
インフレは起こらないでしょう。
高度に発達した世界規模の物流システムによって、
物資の不足は起こらないからです。
「膨張する金融資産のパラドックス」という本は、
示唆に富む本と言えるでしょう。
パラドックス 2016 2 28
書名 膨張する金融資産のパラドックス
著者 吉田 繁治 ビジネス社
早速、この本から気になるところを引用しましょう。
以下は、引用です。
「欧米の金融機関の巨大損には蓋がされている」
2015年現在もなお、デリバティブについては、
保有している間は、時価評価の必要がないという特例が続いています。
米国と欧州の金融機関では、
持ち手が計算した理論値が計上され続けています。
本当の損失が、いくらだったのか。
世界の誰も知りません。
政府機関が銀行に対して行うストレステストでも、
当局の意図で見過ごされています。
(引用、以上)
それでも、アメリカは、
リークすることが文化のような国ですから、
ある程度、「透明性」があります。
問題は、往々にして、秘密主義と言われる欧州です。
それしても、いつも思うことは、
GDPに対して大きくなりすぎた金融資産です。
その金融資産が、また金融危機を引き起こすでしょう。
世界は、金融に依存しすぎているのです。
金融資産は、GDPに対して、何倍が適正なのか、わかりません。
しかしながら、私は、
リーマン・ショックの前後に警鐘を鳴らしました。
もはや、金融資産の数字は、天文学で使うような数字になってしまった。
あまりにも実体経済から離れすぎていると。
もちろん、このような批判は、
金融機関だけでなく、各国の中央銀行にも該当するでしょう。
金本位制がない現代においては、
いくらでも紙幣を印刷できます。
いや、電子化された現代では、印刷する手間もありません。
無尽蔵に増えた紙幣が引き起こす未来は、どうなっているのか。
それでも、インフレは起こらないでしょう。
世界的に高度に発達した物流システムによって、物資の不足は起こらないからです。
インフレは起こらないが、金融危機は繰り返される。
それとも、「見たいところは見て、見たくないところは見ない」という「金融ファンタジー」の世界に浸るのか。
「藁の上の回復」は、いつまで続くのか。
デリバティブや不良債権が作った空洞の上に藁をかぶせても、風が吹けば、どうなるのか。